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【暑さ対策を網羅】熱中症リスクに関わる12の要因

暑さ対策

気温と湿度が上がってくる5月・6月。熱中症は暑さに慣れていない時期が最もリスクが高まります。


「熱中症にはかからない自信があるランナー」にとっても「暑さ」はだるさ、疲労度の増加、パフォーマンス低下につながります。運動に伴って生じる「労作性熱中症」は、若くて健康な人でも運動中に突然発症する可能性があるため、ランナーの方も暑さ対策が極めて重要になります。


今回は、「熱中症リスクに関わる要因」を12項目に整理してご紹介します。熱中症予防に限らず、夏のランニングを少しでも楽に走るためには?のヒントになる内容です。自分の行動や体調、環境を振り返り、夏のトレーニング・レースに備えましょう。


暑さ対策にも役立つ、熱中症リスクに関わる12の要因

1. 服装・装備

厚着や通気性の悪い素材、防具・ウェアの重さは、熱の放散を妨げます。


2. 運動の強度・活動内容

運動の強度が高くなるほど、体内の代謝熱が増加します。涼しい時期よりも強度や休息時間に余裕を持たせることも大事になります。


3. 気候(気温・湿度・風・日射)

環境要因として、気温・湿度・日射量・風速の組み合わせが体温調節に大きく影響します。気温・湿度が高く、日射量が多く、風速が穏やかな時には気をつけましょう。「WBGT(暑さ指数)」を参考にするのも1つです。


4. 年齢

加齢により発汗率や血液循環量が低下するとされ、体内に熱がこもりやすくなります。


5. 体型

体重が重い場合、活動時に必要なエネルギー量が増えるため、代謝熱も増えます。

体脂肪率が高い場合、皮下脂肪が「断熱材」のように働き、熱放散が妨げられます。

体格が大きい場合、体積に対する体表面積比率が低くなるた、放熱の効率が低下します。

つまり、暑さには体重・体脂率が低く、体格が小さい体型が有利と言えます。


6. 薬の服用

抗ヒスタミン薬・利尿薬(降圧薬)などは発汗・循環系・体液バランスに影響を与え、暑熱耐性を下げてしまいます。


7. 疾患や既往歴

発熱を伴う風邪をはじめ、日焼けによる火傷、糖尿病などは発汗による熱放散や体内の水分バランスに影響を与えます。


8. 暑熱順化の有無

暑熱順化は熱中症リスクを低下させる有効な手段の一つです。一定の熱曝露を断続的に7〜14日間行うことで心拍数や体温の上昇を抑えてくれます 。


9. 体力(有酸素性運動能力)

最大酸素摂取量(VO₂max)が高いほど熱放散に有利になりますが、直近のトレーニング状況がより重要となります。同じ運動内容でも、体力が低い方の方がより大きな熱産生が起こり、熱からのストレスが高まります 。


10. 水分補給状況

脱水状態では発汗と皮膚血流の両方が低下し、体温・心拍数が急激に上昇します。体重の1%減少ごとに、体温上昇スピードが最大0.4℃、心拍数は3bpm上がるとも言われています。


11. アルコール

アルコールは利尿作用だけでなく、自律神経を介した循環機能の低下も引き起こすことから熱中症リスクを上げます 。金曜日の夜に飲み会をして、翌日の土曜日の練習を控えるランナーは特に気をつけたいところです。


12. 睡眠不足

明確な関連が示されているとは言えませんが、睡眠不足も自律神経機能を低下などから体温調節に悪影響を与える可能性が示唆されています。



【まとめ】

熱中症は「環境」だけでなく「個人要因」と「行動」が重なってリスクが高まります。今回紹介した12の要因のうち、全てをコントロールできる訳ではありませんが、コントロールできるものも多数あります。できる限りの暑さ対策をして、この夏を乗り越えていきましょう。


参考文献

Adams, W. M., & Jardine, J. F. (Eds.). (2020). Exertional heat illness: A clinical and evidence-based guide. Springer.

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