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ダイエット・走力向上のために ランナー必見の“ヘルシー食材”をチェック

更新日:2019年10月25日


走っても、走ってもなかなか減ってくれない体脂肪 ...


ランナーあらずとも、誰もが気になるものですよね。スポーツ選手は基本的に、体脂肪率が低い方がパフォーマンスに有利とされるため、運動・食事によるウェイトコントロールが大事になってきます。


ウェイトコントロール、特にランナーにとって大事な『減量』は運動よりも食事によってアプローチをしていく方が効果的です。その際に注目する栄養素が、やはり『脂肪』である。


今回はその脂肪の理解を深めて、食材の選択の軸を作っていくことをこの記事のゴールとしていく。

“油脂” “脂肪”“脂質 の違いとは?


「あぶら」というだけでも、様々な表現の仕方がある。¹⁾

あぶらは大きな括りとして“油脂”と表現される。これは水に有機溶剤に溶けるかといつ性質によって、他の物質と区別される。その油脂の中でもいくつかに分類がされる。


食品の形状から区別すると一部例外はあるが、液体のあぶらを“油”、固体のあぶらを“脂”と表現する。前者は大豆油やサラダ油など、後者は牛脂・豚脂(ラード)などを思い浮かべて欲しい。また、一般的に“脂肪”と言われるものはヒトなどの動植物内に含まれるあぶらを指すことが多い。


栄養学、食品化学など科学的な視点で見る場合、あぶらは“脂質”と表現される。食品のラベルに表記される栄養価がその1つ。上記で分類した“油”と“脂”の両方を含む。炭水化物・たんぱく質・脂質...といった形での表現の仕方になる。


この記事の中でも言葉が異なる時があるので、これらのイメージを膨らませながら読み進めてもらいたい。


食事摂取基準では1食当たり20g前後の方も

上記の図は食事摂取基準での1日の推定エネルギー必要量である。


身体活動レベル(physical activity level: PAL)は家事などの生活活動・習慣的な運動を総じて、1日の活動量を区分けした数値になる。Ⅰは1日が座位中心で、合計歩行時間は15分ほどになる。Ⅱは座位中心の仕事のなかで、通勤・買い物・軽いスポーツなどの移動や作業を含む場合に相当し、合計歩行時間は30分強となる。Ⅲは移動や立ち仕事の多い方や、習慣的で活発な余暇スポーツを行う場合に相当し、合計歩行時間は1時間ほどになる。


この身体活動レベルと各年齢区分の基礎代謝量の積が、推定エネルギー必要量となる。

そのため、年代が同じでも1日の身体活動レベルの違いにより、脂質の推奨される摂取量は各々大きく異なってくる。


また食事摂取基準では、脂質は20~30%という割合で目標量が設定されている。

例えば、1日2300kcalのカロリー消費がある方(18~49歳の男性で身体活動レベルⅠ、又は30~49歳の女性で身体活動レベルⅢ)の場合、計算すると推奨される脂質の摂取量は1日約51.1g~76.7gの範囲になる。1食で換算すると約17.0g~25.6gとなる。


あなたの1日の消費カロリーはどれくらになるだろうか? 習慣的にランニングを行うランナーであれば、身体活動レベルⅡ~Ⅲの値を参考にして頂いて大丈夫でしょう。その場合、上記の数値より多くなることもある。最近ではスマホのアプリで消費カロリーを測定してくれるアプリもあります。また、ランナーであればウェアラブル時計などでより細かな測定が可能になります。しかし、これらの推定方法・機器測定でも個人差は大きく出る場合が多いので、幅を持ってみていただきたい。

食材ごとの脂質量をチェックしよう!


さて、先ほどでご自身の目標とされる1食当たりの脂質摂取量がお分かりになりましたでしょうか? これからはその値を基準にして頂きながら、上記の図の食材ごとの脂質量をチェックしていこう!


この図は各食材別の脂質量をグラフィックにして分類した図になります。右上にある食材ほど、食品100g中の脂質量が多いことを表している。この分類の基準は、最も少ないAグループは食品表示基準において「低脂肪」と表記される基準(食品100g当たり3g未満)と同等の量を参考しました。Bは比較的活動量の少ない方向け(1日の消費カロリーが2000kcal前半)に設定。Cは活動量が多い方であれば食事摂取基準の推奨範囲内に収まりやすい量に設定した。Dは含有量が多いため、注意が必要な食材になる。


概ね、“健康的な食材”とされるものはA~Bグループに入るものが多く、逆にDに近いほど“不健康”のレッテルを張られるものが多い。中には意外なものもあるだろう。ここで更に応用を深めるために、【食材】【食べる量】【質】の視点で更に深堀していく。


【食材】としての視点

食材自体の状態によっても異なる。いわゆる「脂の乗り」である。“低脂肪の食材”に分類されている食材でも、産地・時期・種類によって含有量が大きく異なるものもあるのでその点にも目を光らせるとさらによいでしょう。


また低脂肪の食材をチョイスしても、実際に食べる際には料理の形になる。今回はお伝えしないが、調理法や調味料によっても口にする脂質量は変動してくる。低脂肪の食材だからといって油断はしてはいけない。


【食べる量】の視点

図で基準にしているのは100g中の脂質量である。実際、食材ごとに1度に食べる量は大きく異なる。100gでも十分多い食材もあれば、100gでは少ない食材もある。


例えば、牛乳やパン。牛乳は一般的に飲む量がコップ1杯(200ml前後)になる。その脂質量は7.4gとなる(生乳(ホルスタイン種))。そのため、食事と一緒に飲む場合は、食事全体の脂質量にも気をつけて飲んで欲しい。パンも大抵1個で100gのものが多い。パン1つで1回の食事(主食)を賄うのは栄養バランスに欠けてしまう。その点を踏まえて、他の料理を一緒に食事を整えることが大事になる。逆に、チーズのようにあまり多く食べないものであれば、過度に注意することもありません。


1つの食材に偏る食べ方(偏食)がいけない理由は、このような背景があることが所以になります。

【質】の視点

ここまでは基本的に脂質の【量】について視点を向けてきたが、『質』についても考慮する必要がある。うまく適切な範囲の脂質量に留めていれば、ランナーにも大きなメリットがある食材も。

さんまやぶりといった魚に含まれる脂肪には『不飽和脂肪酸(n-3系)』という“良質”な脂肪を含みます。n-3系脂肪酸は先ほどの図の中で脂質多い魚に多く含まれ、100gの摂取でも食事摂取基準で設定されている1日の目安量(2.0g前後)を摂ることができます。さんま・さけ・さば・いわし・かつお・ぶり・まぐろなどに含まれています。


n-3系脂肪酸は体内で代謝されてエイコサノイドと呼ばれる生理活性物質に変換されます。¹⁾ この生理活性物質には多くの種類=機能があり、抗炎症作用を始めとした血管系の保護作用を持つ。この抗炎症作用が多くの慢性疾患(糖尿病・心疾患・アルツハイマー病・癌など)に深くかかわっているとされている⁾ため、この『質』という観点は外さず、脂質のチョイスをして欲しい。

食事も『軸をぶらさない』ことが結果につながる


ランニングを始めとした運動でも、体幹・軸の重要性は多くの方が支持するものである。食事も同様に、軸となる食材・料理をベースにしていた食事が重要である。このベースがしていれば、たまに羽目を外したとしても大きな負担にはならない。“チートデイ”みたいなものだ。


長期的な健康状態が保たれている上で、ランニングの練習の積み重ねが可能になる。そして、リカバリーも最適化されて効率の良いランニングの成長が可能になる。

是非、ヘルシーで、美味しく、そして目に見える結果がでる食事を作ってみましょう!


#マラソン #ランニング #ダイエット #低脂肪


参考文献


¹⁾ 菅野道廣『脂質栄養学ー「日本人の健康と脂質」の理解を求めてー』幸書房,2016.

²⁾ Fritsche, Kevin L. "The science of fatty acids and inflammation." Advances in Nutrition 6.3 (2015): 293S-301S.

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