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新しいデキストリン「シクロデキストリン」 別名「α-オリゴ糖」「環状オリゴ糖」とは?

シクロデキストリンとは?

シクロデキストリン(Cyclodextrin:CD)は、デンプンを微生物から得た酵素を使って円状をした糖質の1種です¹⁾。別名で「α-オリゴ糖」「環状オリゴ糖」と表記される時もあります。「cyclo-」が「円」を意味するように水平面で見ると円状に、立体的には「バスケットゴール」のような形をしています。糖(グルコース)の数が6,7,8個で円を構成し、6個のものがα-、7個のものがβ-、8個のものがγ-シクロデキストリンとなります。

²⁾より引用


円の中心は穴になっているため、その部分に他の成分が入り込むことできます。これにより、他の成分が科学的な分解や消化器内での消化されるのを守ってくれます。この特徴を活かして医薬品や化粧品、また食品の嗜好性を上げる(苦味を緩和など)目的で活用されてきました。


「脂肪吸収抑制」や「腸活」にも

シクロデキストリンは主に他の成分を保護する目的で活用されましたが、シクロデキストリン自体もカラダにプラスになるような報告が複数出るようになってきました。


1つに食事から得る脂肪吸収を抑える効果です²⁾。健康な成人を対象に、高脂肪食摂取と同時にα-シクロデキストリンとプラセボ(セルロース)を摂取してもらうランダム化比較試験を行いました。その結果、α-シクロデキストリン摂取の方が約70%脂肪吸収を抑えました。(食後3時間の曲線下面積で0.30±1.07 mmol/L vs. 0.98±0.88 mmol/L)


もう1つの報告が "腸活" に関してです³⁾。ヒトの消化酵素に消化されにくく、98%が小腸を通過して大腸へ届くとされています。そこで善玉菌の1種ビフィズス菌の "エサ" となるため、"腸活" にもつながる糖とも言えます。


いずれも同様の研究数自体が少ないので、今後同じような報告が出てくるかどうか、慎重に判断していく必要はあると思います。



食品添加物として様々な食品で利用される可能性


上図はある緑茶飲料(特定保健用食品)の栄養成分表示ですが、茶カテキンの効果が期待できる量を配合すると苦味が強くなってしまいます。その苦味を抑えるためにシクロデキストリン(=環状オリゴ糖)が用いられています。いずれはシクロデキストリンが主となり、脂肪吸収抑制などを機能性にした製品も出てくるのではと思われます。




参考文献

¹⁾ Leemhuis, H., Kelly, R. M., & Dijkhuizen, L. (2010). Engineering of cyclodextrin glucanotransferases and the impact for biotechnological applications. Applied microbiology and biotechnology, 85(4), 823-835.


²⁾Bruns, C. J. (2019). Exploring and Exploiting the Symmetry-Breaking Effect of Cyclodextrins in Mechanomolecules. Symmetry, 11(10), 1249.


³⁾ Jarosz, P. A., Fletcher, E., Elserafy, E., Artiss, J. D., & Jen, K. L. (2013). The effect of α-cyclodextrin on postprandial lipid and glycemic responses to a fat-containing meal. Metabolism: clinical and experimental, 62(10), 1443–1447.


⁴⁾ Fenyvesi, E., Vikmon, M., & Szente, L. (2016). Cyclodextrins in food technology and human nutrition: benefits and limitations. Critical reviews in food science and nutrition, 56(12), 1981-2004.


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