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マラソンでカフェインはいつ摂ると良いのか?

更新日:16 分前

ランナーのサプリメントの中で、よく重視される成分の1つが「カフェイン」です。カフェインは主に疲労感を紛らわす目的で利用されており、効果の信頼性レベルも最も高い評価をされています(1)。日常でも”シャキッ”と気持ちを入れたい時にコーヒーなどを飲まれているかと思います。


疲労が生じるタイミングで血中カフェイン濃度を高めておくことで、カフェインの効果を最大限に引き出せると考えられます。では、摂取してから血中濃度がピークになるまでどれくらいの時間がかかるのか?その疑問に答えてくれる研究をご紹介します(2)。


研究の方法

  • 対象者:18.8歳から30.0歳までの健康な成人男性ボランティア10名

  • カフェインの投与量:5mg/kg (体重60kgの場合、300mg)

  • カフェインの摂取方法:経口摂取(液体)、または静脈内点滴


このような形で投与から24時間後までの血中濃度を測定しました。


研究の結果

吸収速度:ピークに達するまでの時間

経口摂取後、カフェインの吸収は非常に速く、平均で29.8分(±8.1分)で血漿濃度のピークに達しました。


利用効率:バイオアベイラビリティ

経口摂取と胃腸での消化吸収の影響がない静脈内点滴との比較をすると、経口摂取でもほぼ同じレベル、つまり摂取した分がほぼ完全に吸収されていることが血中濃度の曲線化面積(AUC)から示されました。


半減期:ピークから半分になるまでの時間

血中濃度が半分になるまでの時間は平均で4.5時間個々で見ると2.7〜9.9時間と大きな差がありました。


静脈内注射と経口摂取による血中カフェイン濃度の動態
静脈内注射と経口摂取における被験者10人の平均血中カフェイン濃度の動態。文献(2)より引用改変。

実践への応用

疲労感を紛らわす目的でカフェイン入りジェルなどを摂る場合は、疲れが出始めるタイミングの前に摂取することが効果的でしょう。この研究はあくまでもカフェインを含む液体のみの摂取でしたので、実際に私たちが摂取するジェルなどの形態や胃腸状態(他に食べたもの未消化物の有無)によって、多少の吸収時間の遅れが生じると思われます。これを踏まえてフルマラソンであれば、ハーフ前後のタイミングが適切でしょう。


個人差が大きかった血中濃度の低下速度。この違いは、カフェインを分解する酵素の機能に遺伝的な個人差があるためと考えられています。コーヒーを飲みすぎたりすると、頭痛などの不調をきたすのはこのためです。レースでもカフェイン摂取は恩恵を得られる期待が高いですが、日常シーンでカフェイン摂取による不調が気になる方は、過剰摂取にならないようにどれくらいの摂取量になるのか?計画的に摂取するようにしましょう。


参考文献

(1)Kerksick, C.M., Wilborn, C.D., Roberts, M.D. et al. ISSN exercise & sports nutrition review update: research & recommendations. J Int Soc Sports Nutr 15, 38 (2018).

(2)Blanchard, J, and S J Sawers. “The absolute bioavailability of caffeine in man.” European journal of clinical pharmacology vol. 24,1 (1983): 93-8.

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